はとぶん

旅するゲームプロデューサーの妄想ブログ

企画のメソッド①「好き」を見つける

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会社という営利目的の組織に所属している以上、商品やサービスを生み出し消費者に提供して銭を稼がなければいけない。うちの主幹事業はいわゆる"ビデオゲーム"と呼ばれる商品の開発・サービスの提供であり、自分はそのゲームという商品を企画・立案してサラリーをもらっている。つまり「こんなゲームをつくって儲けましょうよ」というアイディアを会社に提案して賛同させ融資を得て形にして世に送り出す!というのが自分に与えられた任務である。

 そんな仕事を19年続けて段階的に立場や作り方も変化してはいるのだが、仕事の目的というか本質は変わらず"商品"を作ることである。変わったといえば、若い頃にはあまり意識していなかった損得勘定が、現在はハイプライオリティーに位置している。業界も会社もユーザー環境も変化して、商売を意識した儲かるロジックを企画に落とし込む必要性が増したというワケだ。

「昔はよかったー」的な話はまた別の機会に語るとして、兎にも角にもゲームの立案といえど利益を生むロジックをその企画書に落とし込む必要がある。この19年間自分がどんなプロセスで企画しているのか振り返ることは無かったのだが、先日ワケあってそれを考える時間があったので、上の図にまとめてみた。19年間も働き続けたのに、コトバになおすとこの程度である。。。

 

①「好き」を見つける

順番が振られているが、決してこの順番に沿って物事を考えているワケではない。最終的に線が繋がれば入口はどこでも良い。そもそも最初の一歩は天から降ってくることの方が多いし、それは概念であったり手段であったり何かしらのシーンであったりするのだが、そこから膨らませて線を繋いでいくことで、最終的にはこんな感じに網羅することになるのかーと思う次第である。とは語りつつも、やはりこの①「好き」を見つけるに費やしている時間が大半を占めている気がする。

これはもう読んで字の通り「こんなもの作りた―い」とか「こんなテーマを描きたーい」とか、モノづくりの原動力となる要素を発見することである。"好き"でなければモノは作れないし、"好き"の度合いが高ければ多少のスキルはカバーできる。経験上そう思うことは多々ある。売れる売れないは置いといて、そもそも"好き"なものをゴールに据えないと、企画は成り立たないのである。逆に言うとどんなにマイノリティーなことでも「好きなモノを売れる企画」にすれば良いだけのことだ。

で、この"好き"というこの原動力はゼロから生まれるものではないので、何かしらインスピレーションを受けた具体的な作品や情景があるはずで、それを見つけ出す必要がある。自分の場合ゲーム、映画、本、ドラマ、音楽、遊技、スポーツ、玩具、CM、ファッションといった分野のトレンドを漁って、その時受けた印象や体験の記憶を甦らせる。具体的に作るテーマ・コンセプトを持っているならわざわざあら探しする必要もないのだが、過去のランキングサイトとか閲覧するとノスタルジーに浸れるし、その時気にはなっていたけれど結局味わえなかったコンテンツと再会できたりするので、まあやってみて損はないのかと。古かろうと新しかろうと、"好き"にあるには人を感動させる要因があり、それがうまく伝達したからこそトレンド化しているわけである。

 

②、③は、そのコンテンツを"好き"にさせたコアな要素をみつけて、そいつに商売としての芽があるか考えるプロセスである。その話はまた後日。

 

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