はとぶん

旅するゲームプロデューサーの妄想ブログ

企画のメソッド③「好き」を料理する

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「好きを料理するとは何ぞや?」と思うだろうが、これは読んで字の如く、自分の「好き」がわかったら、それを食欲をそそらせる様に美味そうに料理しようってことだ。

 もちろん企画の消費者共感度を上げて訴求精度を高めるのが目的なのだが、正直ビジネス主体で考えるのはあまり楽しくないので、ここでは「企画をユニーク(独特)なものにする」という目的に捉えてもらった方が良い。どこかで見たコト聞いたコトのある企画より、新鮮な企画の方がレビュアーのウケは良い(はず!)。

 

じゃあ如何料理するのか?

例えば前回分析した「かわいい軽音部女子の青春をノンストレスで楽しみたい」を料理するのであれば、"軽音部"以外のいかなるシチュエーションで"かわいい"を楽しみたいかを探求してみる。"軽音部"を"喫茶店"や"金髪"に変えてみたり、色々設定を弄ってキュン死させるぐらい"かわいい"が詰まったシチュエーションをいろいろ妄想してみるのだ!

 

…とはいえ、そこまで単純な作業でもないのだが、発想のきっかけはこんな感じでも良いと思う。要はいかなる戦略で既存の商品やサービスと差別化するかってこと。

・鉄板ジャンルで装いが異なるから新鮮に楽しめる

・鉄板の世界観だがルールを変えて新しいジャンルにする

・古典作品だが舞台を現代に、異なる世代に、異性に変更して、作品を変身させる

という感じに、既存の商品やサービスの食材をベースに、別の食材を加えることで生み出された新しい料理は少なくない(はず!)。

 

その食わる食材というところに、ターゲット(誰に対して売るの?)を意識するといろいろ考えやすいと思うが、この辺は次のメソッド「④コンセプト・ターゲット・マーケット」のところで触れることにする。

 

ちなみに昔『Phantasy Star Online』(DC)というタイトルの開発に関わっていたのだが、この中で「チャレンジモード」というエクストラモードを作った。

そもそもこのゲームは"協力プレイ"というのが遊びのメインコンセプトだったのだが、「チャレンジモード」ではそのコンセプトに集団スポーツの"プレッシャー"(エラーに対しての恐怖と、それを乗りこえることの連帯感や達成感)というエッセンスを加えた。

一人でも倒れればチーム全体がチャレンジ失敗」というルールだ。

オリジナルのコンセプトを破壊する可能性があったので、開発当時結構もめた記憶があるが、結果的にはこのルールが生み出す「異常な緊張感」と「貢献によって得られる満足度」は、現場にもユーザーにもかなり受け入れられた(と思う)。もちろん殺伐としない様に様々な工夫を凝らしたわけだが…。

 

結果論ではあるが、要素を加えることで想定以上のケミストリを起こすこともあり、あまりジャンルや市場などの常識的な範疇にとらわれずに、言葉遊びのつもりで色々な要素を加えてみるのが良いのかとー。

 

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