はとぶん

旅するゲームプロデューサーの妄想ブログ

PVつくった

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ここ1年ぐらい関わっていたライセンスものの商品が無事リリースされた。
まあ監修以外は特に何もしていないのだが、自分が作ったIPだし、そのキャラクター商品が世に出ることは素直にうれしい。商品の販売ページ(Web)を確認していて気になるリンクテキストを発見。「デモ楽曲…だと?」

 はて?"デモ楽曲"とは何でしょう?と思って伺ってみたら、どうやら「何か紹介したい楽曲とかあればリンクはりますよ」ということらしい。
このIPを生み出した当時(このブログタイトルの元ネタである)『鳩女 うたう文芸サークル』の名で数々の楽曲を生み出したので、デモに使えそうな楽曲は多々ある。
しかしその曲をワザワザ露出する機会もなかなか無く、「どうせなら彼女たちが歌って踊るPVをつくりたい!」という欲がでてくる。


というわけで何かサルベージできないかなーと思い過去のアーカイブを漁ってみると、何とゲーム未収録の楽曲&ダンス(モーション)があるではないか!?
久しぶり(2年ぶりぐらい)にMAYAを起動してみる(というかインストールするところから始める)。

開発当時とMAYAのバージョンも違うしディレクトリ環境も異なるので一筋縄では再生できない。ちくちく素材をリンクしなおして再生ポチっ。

「こいつ…動くぞ!」
約4年の時を経て、彼女たちが姿を現す。(ここから先はキャストが存在している前提で話を進めることに)

 

久しぶりに二人との対面である。(実は2年前に別の作品にも出演してもらったので、そんなにご無沙汰ってわけでもないのだが…)
そして今回デモ(候補)楽曲を久しぶりに歌って踊ってもらったわけだが…
・表情が硬い(未収録だから一切フェイスに手をつけていない)
・歌詞を忘れている(当時実機側で該当のリップ(キー)をあてがってた)
・衣装に綻びが…(動きによって素体が衣装を突き抜けたりはみ出したり…)

「ううっ…(酷)」仕込み前だから無理もないが、まともに見れる形にするとなると、モーショナー演技指導者1人月は確保せなアカンな…と。
時間的にも経済的にもそんな余裕はない。ちょっと考えてみる。

 

・基本カメラを固定してレンダ撮影する。シルエット化することで演技できていない部分や、多少の綻びはごまかす。
・見せ所を決めて、その部分はちゃんと歌詞も覚えさせる。そこだけはカメラにも動きをつける。
・賑やかしの仕掛けをいくつか作って、それらを散りばめて飽きを感じさせないように展開
・それでも出てくる粗は、編集で目立たない様に頑張る

 

サラリーマンの愚痴の様な陰々とした歌詞だが、何となく言わんとしている"憂い"の様なものを感じる。AメロBメロは色味を落とし鬱陶しさを表現しつつ、Cメロで感情を爆発させて一気に彩を持たせる!そんなイメージを頭に描く。さて作業の始まりだ。


まずリハの様子を撮影して編集担当のpremiere氏に渡す。premiere氏が構成を固めている間にPSD氏が彼女たちの姿をシルエットに塗っていく。
MAYA氏に彼女たちの演技指導とカメラワークを依頼。並行してAE氏に小道具を作ってもらう。コンセプトは"憂い"。雨とか傘とか桜吹雪とか、そういったもので憂いを表現する。

そんな感じで諸々着々と進めるのだが、どいつもこいつも久しぶりの現場で作業が覚束ない。些細なこともググらないとわからない。まるで"老兵"だ。なのにわがままにも作りたいイメージを崩さないので"老兵"で"老害"である!

Google先生の助けを借りつつ、何とか作業を進めつつ、できあがったものからpremiere氏に渡し合体させていく。
BメロからCメロへの流れが出来上がり、(歌詞を覚えた)彼女たちがシルエットから解放されてその姿を現わす。その姿をカメラマンが走って捉える!そこにAE氏が溢れんばかりの花弁を散らす。

「ほう!」

見事だ。ただそのままだとややしつこい。そこで後半から照明を落とし夜桜を表現する。花弁の向こう側で彼女たちをフェードさせ、あたかも桜に飲み込まれた様に演出。構成にも少し手を入れて、2番目のCメロでは暗から明に。物語性が増す。

 

新たにReMixした音を乗せて、歌詞の表示タイミングを合わせる。
撮影は終了。できあがったフィルムから、衣装の綻びをチクチクと手直しする。(500枚ぐらいあったかな…)「さあ完成だ!」
再生時間約3分30秒。製作期間4年と約1週間w。MoCap…このダンスを振り付けたのはは恐らく4年前だから、4年ぶりに日の目を見ることができたわけだ。(本当はゲームに入れる予定だったんだけど、いろいろあってパッケージにはINできなかったのよね…)

 

ほぼほぼ自己満足にしかならないが、やっぱり作り手としてこういうワークは楽しい。一人4~5役の作業を終え、心地よい疲労感と充実感と共に、この作業期間中溜めに溜めたタスクを眺める。そして現実に戻されるのだ。

何はともあれ無事製品リリースに間に合わせることができたので一安心。
映像に触発され彼女たちの物語を紡いでくれる人が現れることを、ほんの少しばかり願う今日この頃である。

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