はとぶん

旅するゲームプロデューサーの妄想ブログ

『RiME』をプレイして

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約35人のチームで4年かけて作り上げたと言われる注目のインディーズタイトル『RiME』をプレイ。発表当時はSCEのエクスクルーシブタイトルだったが、4年の間に紆余曲折があったらしく最終的にタイトル名も変わりマルチPFで展開されている。ビジュアルはエッジを描かない優しい感じのトゥーンで、『ICO』や『風ノ旅ビト』を引き合いに出す紹介記事が多い。まあこういう世界観が嫌いな日本人は少ないと思う(ゲーマーの購買意欲をそそるかどうかは別だが…)。

舞台はオセアニア大洋州を彷彿させる。褐色の少年が無人島に流れ着いたところから物語は始まる。ジャンルは(アクション)アドベンチャー。アクション要素は然程強くない。移動とジャンプ。あと特筆すべきは(雄叫びや歌など)声を出すこと。この声の力で様々な神秘の力を呼び起こす。あとは状況に応じて物を運んだりするイベントアクションのみ。

無人島に独り」という置かれている状況に対して、攻撃的なアクションが無いのはかなり心細い印象を受けるだろう。それ故「ここ飛び越えられるかな?」とか「海にダイブしても大丈夫かな?」とか、前半いくつかの状況で勇気が試される。シナリオのテーマが"勇気"かというとそうではない気もするが、困難を乗り越える少年の姿には感慨深いものがある(父親の気持ちッ!)。

まあ死の概念はあるが、リトライでありゲームオーバーではないので、それほど緊張する必票はない。それでも死に対しての恐怖はしっかり感じる。あの猛禽類の襲来はトラウマものである!

 

ゲームは終始仕掛けの謎を解き冒険を進めていく、まあ解りやすく言うと"ギミックパズル"だ。一切のテキストを使った説明がなく、独立したチュートリアルもなく、マップすら用意されていないこのゲームはかなりユーザーを突き放した作品だと思うかもしれないが、ゲーム世界への引き込み方というか導き方が素晴らしく丁寧で、学習→応用によって数々の仕掛けを解き明かし、心地よいリズムで達成感を与えてくれる。仕掛け自体も洗練されていて、"光"そして相反する"影"の存在を如何に料理するか?そこに強いこだわりを感じる。時間軸(太陽の位置)で投影範囲を変化させる仕掛けや、錯覚によって視界内のオブジェをお題の形に合わせる仕掛け、光源位置を変化させてオブジェの投影角度を変化させフラグをたてる仕掛けなど、見事に世界観に溶け込ませており、ゲームデザイナーにとっては教科書の様な内容と言えよう。

ギミックだけでなく地形や舞台そのものがこの「明と暗の使い分け」、それに導かれる「ストレスと開放の関連付け」にきっちりハマる様に作られているのかもしれない。"4年間"の成果である。(中盤以降暗いところが多いので、僅かな明かりを求めて眼精疲労感パないですけど…)

 

エンディングを迎えるまでに10時間ぐらいかな?頑張れば一日でクリアできるぐらいのボリューム。正直エンディングに疑問符が残るが、費用対効果というか満足度は相当に高い。間違いなく記憶に残るタイトルだ。この夏どこにも出かける予定のない人はお試しあれ。一夏の冒険の思い出となるだろう(きっと)。

 

追記:主人公を誘う狐の様な小動物や、無表情だが哀れみを誘う怪異など、所々にジブリ作品の影響を見受けるのは自分だけだろうか?

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